市内で放課後児童クラブなどを運営する、認定NPO法人「地域家族しんちゃんハウス」(館合みち子理事長)がこのほど、法人設立20周年を迎え、5月20日にシリウスで記念式典を開いた。

同法人は南林間に放課後児童クラブを2拠点、子育て親子の交流などを支援する「こどもーる鶴間」をイオンモール大和で運営するほか、子ども食堂や指定障害児相談事業所など、子育て支援事業を幅広く展開する。

同法人の誕生は、理事長を務める館合みち子さん(66)の長男・真輔(しんすけ)さん(享年12)の死がきっかけ。真輔さんは亡くなる2年半ほど前に交通事故に遭い重傷。常に医療行為が必要で、館合さんが24時間付きっきりで介護しながら、残りの人生を懸命に生きた。

真輔さんの死後、自宅に引きこもり、悲しみの淵にあった館合さんにたくさんの声が届いた。「福祉施設を手伝ってほしい」。館合さんは「気分を変えるために、家を出て利用者さんのお手伝いをしたんです」と当時を振り返る。

久しぶりに人とふれ合い、少しだけ元気になれた気がした。そんな折、肢体不自由の人たちを支援する団体から声がかかった。「息子さんと同じように常に介護が必要な人たちが暮らしやすい場所がほしい」

「健康な方も、そうでない方も、息子(のような子)も、皆が生き生きできる場所を作ろう」。館合さんは真輔さんが亡くなった翌年9月、南林間に重度障がい者の受け入れ施設「しんちゃんハウス」を立ち上げた。

その後、地域のニーズもあって01年、学童保育も始め、今では2拠点の放課後児童クラブに小学生およそ90人が通う。

数人で始めたしんちゃんハウスだが、03年にNPO法人を取得、スタッフは現在40人を超えた。

四半世紀を振り返り「『みんな一緒、みんな違ってみんな良い』ということを真輔から学んだ気がする」と館合さん。「今後も笑顔で『みんな違ってみんな良い』と訴え続けていきたい」と前を向いた。

20日の記念式典には、およそ150人が出席。古谷田力市長ら多数の来賓も駆けつけた。