八王子消化器病院(万町)の地階・放射線科フロアを東京造形大学(宇津貫町)の学生たちがデザインしたホスピタルアートで彩る『癒しの壁画』プロジェクトの完成披露会が、5月17日に同院で開かれた。薄暗く無機質なイメージのある地階の壁面が、季節ごとの八王子を表現した鮮やかな「ちぎり絵」アートに包まれた。

プロジェクトは「アートの力で地階を少しでも居心地良く、穏やかな気持ちで過ごせる空間にしたい」という同院の想いに同大の福田秀之教授ゼミナールが賛同し、2022年4月からスタート。同ゼミでグラフィックデザインを学ぶ19人の学生が現地視察や職員へのヒアリングを通してデザインを考案し、昨年末に行われたプレゼンテーションを経て、ちぎり絵の手法で『折々の八王子』を表現するデザインに決定した。

学生たちは『土手に咲く桜のトンネル』や『街道の銀杏並木』など季節ごとの八王子をイメージしたちぎり絵の原画を壁面の10分の1サイズで作り、パネルに拡大印刷する手法で制作。同大4年の児玉真菜さん(21)は「地階の持つイメージを払拭して、患者さんが落ち着ける空間になれば」と想いを込めた。

将来の財産に

完成披露会の日に仕上げの作業が行われ、同院の原田信比古理事長や小池伸定病院長などの病院職員、福田教授とゼミ生が協力して、壁画にちぎった色紙を重ねて完成させた。プロジェクトの発案者でもある小池病院長は「コロナ禍の難しい状況の中で多くの方々のご協力やご支援をいただき、この日を迎えることができた。皆さんの力作を大切に飾らせていただきます」と感謝。福田教授は「デザイナーの卵である学生たちに貴重な経験をさせていただいた。この作品に取り組んだことが数十年後に大きな財産になっていると思う」と学生たちの将来に期待を寄せた。