葉山町と同町商工会青年部が2017年度から進めてきた里山再生の取り組み「秘密基地プロジェクト」。木古庭の某所に5月14日、里山の魅力を楽しめる場所「秘密基地」がプレオープンした。今後、利用者の声を聞きながら必要に応じ整備を進め、来年度中の本格活用を目指す。

「葉山=海」のイメージが強い中、山の魅力もPRすることを目的にスタートした同プロジェクト。詳しい場所は秘密基地ゆえ「ヒミツ」だが木古庭の里山の中にある。土地の所有者は大和ハウスで、町が公共のために使用するという条件で無償で借り受けている。広さは山林部分も含め、約4・2ヘクタールでテニスコート約160面分にあたる。

プレオープン期間は日曜のみ利用可で無料。事前申込制で詳しい場所は申込時に知らされる。時間は午前9時から午後1時、1時から5時(冬季は4時)までの2部制。申し込み状況次第で通しでの利用もできる。当面は10人以上の団体のみ受け付け。既に幼稚園や保育園などから問い合わせがきているという。

広大な敷地内にはシンボル的なツリーハウス、手製のジップライン、芝そり(整備中)など子どもが楽しめるアクティビティもある。電気や水道も麓から引いているため、バーベキューなどでも利用できる。

町の担当者は「レクリエーション、ピクニック、フィールドワークなど、町民の皆さんはもちろんですが、外部の方にも山の魅力を是非体験していただきたい」と呼びかける。

休み返上で整備

整備を行ってきたのは葉山町商工会青年部のメンバー約20人。現部長の陸永(むつなが)光弘さん(40)は「先輩方が行ってきたビーチフラッグ大会『B1グランプリ』のように、自分たちの代で次世代に残せるものを作りたかった」と話す。

町から土地を借りた当初は、完全な荒れ地で産業廃棄物やごみの不法投棄がひどく、その上に落ち葉が積もっているような状態だったという。

生い茂った草を刈り、重機を使って木を抜くなど17年に開拓を始めてから、メンバーはほぼ全ての日曜を使い、休み返上で作業をしてきた。もともと高速道路建設の際の残土の捨て場だったことから、掘り起こすとアスファルトや大きな石などが出てくることもあったという。陸永さんは「石が出てきたら『宝』と呼ぶことにして、ポジティブに考えるようにした。石垣を作るなど有効活用しましたね」と当時の苦労を振り返る。また「とにかく子どもたちの思い出に残るような場所を作りたかった」と強調。「秘密基地に完成はありません」と笑顔を見せた。今後は果樹園なども作り進化させるという。

プレオープン中は利用者がいる間は青年部が立ち会う。正式にオープン後には「管理人を置くなどして雇用創出につなげたい」と展望を語った。

問い合わせ、申し込みは葉山町政策課【電話】046・876・1111(内線336)