川崎市議会の議員研修会が9月6日、市役所第2庁舎7階の議場で開かれ、講演会に市議55人が参加した。

今回の講演は、アフリカ・ルワンダ共和国出身で順天堂大学大学院医学研究科・国際教養学部教授のニヨンサバ・フランソワさんを講師に招き、「多様性を認め合う社会を目指して〜川崎の次の100年に向けて〜」と題して行われた。

ルワンダの貧しい農村地区で生まれ育ったニヨンサバさんは、幼い頃に川で水を汲み家畜の世話に追われる日々の中で「いつか親孝行を」という思いを胸に猛勉強。中国の医科大学へ留学し同大学院修士課程整形外科を修了した。帰国の途に就く矢先の1994年、故郷ルワンダで民族紛争による大量虐殺が発生。母親と兄夫妻、姉家族、姉妹を亡くした。その後、知人のつてをたどり来日。順大大学院を経て日本国籍も取得した。

ニヨンサバさんは人種差別や言葉の壁に苦しんだ自身の経験を明かし、「差別は病気より痛い」と訴え、「人間全員の地球。少子化や高齢化の問題もあり、多様性を認めないと日本は発展できない。多様性をもう一度考えて、この川崎市からスタートしましょう」と呼びかけた。

講演後の取材でニヨンサバさんは「最後まで集中して聴いていただけた」と振り返った。青木功雄市議会議長は「多様性について自分の人生で語れる方が、日本を愛し川崎の可能性を感じてくれていることに感謝したい」と感想を述べた。