使用済みのろうそくを再利用し、着火剤として販売することで、障害者の就労支援につなげる取り組みが川崎市内で始まった。多摩川丸子橋河川敷のイベント会場で11月18日、来場者に着火剤の試供品が配られ、手にした人の反応も上々。今後は生産量を増やし、継続的な販売につなげていきたい考えだ。

着火剤の原料となる使用済みのろうそくは、市営火葬場に設置された回収箱で集められたもの。管理する川崎葬祭具協同組合(齋藤隆理事長)が、障害者就労移行支援事業所のNPO法人フューチャードリームアチーブメントに寄付し、事業所利用者がろうそくを溶かして木くずと混ぜ合わせ着火剤として商品化。これを、市指定管理者として多摩川バーベキュー会場を運営する太平洋總業サービス(株)が購入し、収益を障害者の工賃に充てる仕組みだ。

イベント当日の18日、着火剤の制作に携わった高橋洋史さん(42)と川口りえさん(32)が、用意した試供品をバーベキュー会場の家族連れらに直接手渡した。パッケージ作りも手掛けた高橋さんは「説明書の紙、入れる袋も燃やせる素材を使い工夫した」と話し、川口さんは「溶かしたろうと木くずの配分調整に苦労した。利用者に喜んでもらえたら」と思いを込めた。制作物を販売できることで自信をつけ、実際の就労につなげることが同事業所の目的という。

着火剤を購入した太平洋總業サービスの中沢大輔さんは「この素晴らしい取り組みを多くの人に知ってほしい。今後は定期購入し、就労支援をしていきたい」としている。

再利用でSDGs

使用済みのろうそくを着火剤として商品化する取り組みは、茨城県取手市で行われており、川葬協も協力してきた。川崎市内での実現を目指し取り組みを進め、その一歩にこぎ着けた齋藤理事長は「葬祭業界で廃棄されていた使用済みのろうそくが、障害者の就労を支援し、再利用でSDGsにもつながる。継続的な支援ができるよう多くの人に協力を呼び掛けていきたい」と話している。