能登半島地震では、多くの人が避難所での生活を余儀なくされた。藤沢市内で福祉活動に取り組むNPO法人ぐるんとびーの菅原健介理事長は、被災地で現地の社会福祉法人と協力して福祉避難所の運営にあたった。社会の高齢化が進むなか、高齢者の受け入れや現場で感じた課題などを聞いた。

菅原理事長が被災地に入ったのは3日。「発災直後に行って良いか悩んだが、知人からの救援の声で決めた」という。避難所では水や食料のほか、おむつ、生理用品、離乳食などの不足が目立ったため、これらの支援物資を用意した。

介護が必要な高齢者や障害者などを受け入れる福祉避難所は、主に介護施設のスタッフなどがケアにあたるが、「人手が足りず、疲労で耐えられなくなっていく状態」と話す。特に衛生面での課題が大きく、「水の無い状態ではトイレも使用できず、汚れた床の掃除作業が介護をする人たちにとって負担」と指摘。「避難所への災害用トイレの備蓄をもっと拡充すべき。衛生面で清潔を保つ作業が軽減することでスタッフの負担が格段に減る」と訴える。人手不足は今後も長期化する見通しであることから、有償ボランティアを募って現地に派遣するなど、継続的な支援にも取り組んでいく考えだ。

被災地での経験を藤沢市内の防災につなげようと、湘南大庭市民センターで断水や停電、防災食を体験する「防災CAMP」も企画している。「災害への備えは、必要と分かっていてもなかなか動けない人が多い。まずは体験して知ってもらえたら」と参加を呼び掛ける。イベントについて詳しくは【電話】0466・54・7006。