小田原市内の路線バス減便による地域課題解消に向け、東部エリアで行われている相乗りタクシーと助成券配布の実証事業について、市は2月20日の市議会建設経済常任委員会で4月以降も事業を継続する考えを示した。実証事業では対象エリアを拡大し、効果や実現可能性の検証を引き続き進めていく。

国府津駅を起点に、二宮町方面へ向かう神奈川中央交通、御殿場線下曽我駅方面を往復する富士急湘南バスは利用者の減少や運転士不足などにより、日中に5時間ほど運行間隔が空いている。

市は昨年11月、同地域の住民向けに相乗りタクシー「おだタク」の運行と、タクシー・路線バス共通助成券「おだチケ」を発行する実証事業を開始。市によると、昨年12月までにおだチケは対象者の約40%が申請を行い、チケットの25%が利用された。おだタクはタクシー稼働が2カ月で40回ほどだったが利用者のアンケートでは満足度が高かったという。市ではこの結果を踏まえ、3月まで予定していた事業を継続したいとしている。

4月からの実証事業は対象地区を拡大し、運用要件を変更。おだタクは運行日を週5日から2日に減らすが、運行地区を前羽のみから下曽我―国府津駅、根府川駅周辺も追加し、事前予約も不要にする。

タクシーとバスで利用できる「おだチケ」は配布エリアを現在の曽我、下曽我、国府津、前羽、橘北に加え、片浦、豊川(一部)、上府中(一部)まで拡大。対象者(免許非保有者)も75歳以上から70歳以上に引き下げる。市の担当者は「交通事業者らとの協議を進め、優先順位を考えながら事業エリアの検討を進めたい」と話す。

今回の事業は現在開会中の市議会定例会に補正予算として4673万6千円を上程。2月27日の議決を経て実施を見込んでいる。