2023年に発生した特殊詐欺事件について、港南区内の被害額が約1億8600万円、栄区内が約1億1170万円だったことが分かり、両区で1億円超となった。特に港南区は前年比93・1%増でほぼ倍増した。

神奈川県警察が発表した事件発生状況によると、2023年の特殊詐欺認知件数は港南警察署で54件、栄警察署で50件、被害額は港南署で約1億8600万円、栄署で約1億1700万円だった。2022年の被害額は港南署で約9600万円、栄署で約9500万円となっており、両区とも増加、特に港南署では93・1%増と、倍近くまで増加した。

両区とも最も被害額が大きかったのはオレオレ詐欺で港南署で約8800万円、栄署で約6100万円。認知件数で最も多かったのは、港南署で預貯金詐欺の19件、栄署でオレオレ詐欺の20件だった。

口座狙われる

両区で増加が目立ったのが「預貯金詐欺」。自治体や税務署の職員を名乗り「キャッシュカードの確認や取り換えが必要」などの口実でカードをだまし取った上で、後に「手続きのため暗証番号を教えてほしい」と情報を聞き出す詐欺だ。

港南署では前年比14件増の19件(280%増)。栄署では前年比9件増の17件(112%増)が発生。また、被害額は港南署で約3600万円増の約4600万円(363%増)。栄署では約900万円増の約1800万円(117%増)といずれも倍増を超える値となった。

さらに、「預貯金詐欺」と似た手口で偽のカードと本物をすり替える「キャッシュカード詐欺盗」も両区で認知件数、被害額共に増加。キャッシュカードや銀行口座が狙われていることが分かる。栄警察署生活安全課担当者は「従来のオレオレ詐欺も未だに多く、詐欺の『予兆電話』もかなりある。身近で起こると知ってもらいたい」と話している。