保土ケ谷町の樹源寺の境内と墓地を結ぶ跨線人道橋の開通を記念する「渡初め式典」が3月13日に同所で行われた。これまでは境内―墓地間の移動は全長24mの踏切を渡る必要があった。跨線人道橋の開通により、歩行者の安全確保や利便性の向上が期待できる。

横浜市は2015年、市内167カ所の踏切に対して安全対策を計画的に進めようと、「踏切整備計画」を公表。その中で樹源寺踏切を廃止し、跨線人道橋の設置を進めてきた。

踏切はJR東海道線・横須賀線の保土ケ谷駅―東戸塚駅間に位置。線路の南側に位置する寺院と北側の墓地を結ぶ歩行者専用踏切で、彼岸や盆の時期を中心に参拝者が利用している。全長24mで、4つの線路と段差などがある。樹源寺の日比宣俊住職は「高齢者が渡り切れずに列車が緊急停車することもあった」といい、約50年前から市などに跨線人道橋の設置を求めてきた。市が設置費用を確保し、近隣住民からの理解が得られたことで整備が決まった。

「渡初め式典」には、樹源寺の僧侶、市の職員らが出席。日比宣仁副住職が中心となって橋上で祈祷を行い、出席者は橋を渡る人々の安全などを祈願し、日本酒をまいた。橋が開通し、歩行者の安全確保だけでなく、保土ケ谷町方面と岩崎町方面の往来が便利になるなど、利便性の向上も期待できる。

エレベーターの設置検討

跨線人道橋の整備は踏切の撤去などを終えた上で完了となり、25年3月に完成予定。日比住職は「橋は階段を楽に上れるよう、エレベーターの設置を想定した設計で造られている。資金面などもあり実現するかは分からないが、誰もが気軽に渡れる橋になることを願いたい」と期待を込める。