▼防災に関する地域や学校の特徴的な取組が蒔田地区で3月に相次いであった。集合住宅が多く建ち並ぶ宮宿花1・2丁目町内会は、マンションの防災対策を考える講演会を3日に初開催。管理組合の役員や住民を中心に約30人が参加し、専門家からマンションで意識すべき対策や防災上の注意点などを聞いた。講演会の2週間後には、町内会とマンション住民の意見交換会を開くなど、早くも広がりを見せている。講演会の開催は、日頃、町内会と関わりを持つことが少ないマンション住民との接点を作るねらいもあったという。

▼蒔田中学校の2年生は18日、12月から学んできた地震や風水害への備え、地域防災拠点の役割などを学び、保護者や住民に向けて発表した。同校は防災教育に力点を置いており、生徒が地域防災の担い手となれるような取組を続ける。日中、自宅周辺にいることが多い生徒に災害時、力を発揮してもらうことを期待する地域の声もある。

▼東日本大震災以降、地域では防災への関心が特に高まっている。地域防災拠点での生活や家庭での備蓄、トイレなどのライフラインに関するものなど、関心事は多岐にわたり、誰もが避けられない災害に対し、地域がどう向き合うかが問われている。だからこそ、地域関係団体が横断的に防災活動に取り組むことが求められるだろう。その点で今回のような町内会や中学校の活動は、他の地域でも学ぶべき点が多いのではないか。

▼地域防災の中で中心的な役割を果たす自治会町内会が、マンションや福祉施設、学校などと防災をテーマにした勉強会や意見交換会を行うことがもっとあっていい。会をきっかけにして生まれた関係は、防災にとどまらず、日常的な地域活動の充実につながるはずだ。幸いにも南区は学校と地域の結び付きが強く、生徒が地域防災の担い手として育ちやすい素地がある。誰もが関心のある防災を中心とした活動は、多くの人や団体をつなぐきっかけとなる。区もこうした取組を各地に広げられるよう、情報共有などをしてほしい。