日本盲導犬協会神奈川訓練センター(新吉田町)が所属する公益財団法人日本盲導犬協会はこのほど、2023年の1年間を対象にした盲導犬使用者受け入れ拒否の実態調査の結果を発表した。「受け入れ拒否があった」と回答した人は44%。同センターでは出前授業やイベント等を行い、理解促進に努めているが、調査結果を踏まえ情報発信をさらに強化していく。

調査は、同協会所属の盲導犬使用者(ユーザー)237人を対象に昨年1年間、電話やメールの聞き取りで行われた。2016年に、全ての国民が相互に尊重し合う社会の実現に向け、障害を理由とする差別解消の推進を目的とした「障害者差別解消法」が施行され、以降、同法に対する社会理解の実態を把握するため毎年調査されている。今年4月1日から改正法が施行され、民間事業者による合理的配慮の提供が義務化された。

盲導犬同伴を理由に拒否された人は103人(44%)。19年は63%、コロナ禍で41%(20年)、35%(21年)と減少したが前回は45%に増加し今回はほぼ横ばい。複数回拒否された人もおり、延べ208件発生したうち飲食店が114件で最多、交通機関や宿泊施設等で拒否されたという回答も。神奈川県内でタクシーを利用しようとした際、「盲導犬とはいえ犬は乗せられない」と乗車を断られた事例もある。

「良い変化」の回答80人

「障害に対する人々の理解や考え方の変化」の質問には「変化はない」が148人(62%)が最多。「良い変化もあるが、受け入れ拒否もあるので変化はない」「周囲の人は良く理解していて変化はない」「理解が無いまま変化はない」等の回答があった。一方、80人(34%)が「電車やバス、買い物中等に周囲からの声かけが増えた」「視覚障害者への声かけ方法を知ってくれている」等、「良い方へ変化した」と答えた。その他社会参加の障壁として、タッチパネルやアプリの利用を求められる機会が増え不便に感じる人も。

同協会は「受け入れ拒否はユーザーの日常的行動を左右し、社会参加の意欲を削ぐ障壁になっている。解消のため、法律の周知と理解が不可欠」とした。様々な企業で盲導犬同伴者対応方法の研修会を行っているが、事業者への周知方法を探るため事業者対象の意識調査を実施予定の他、イベントやセミナー等の情報発信に力を入れていく。