神奈川工業高等学校定時制では今年度、新入生に対しデジタル端末の貸与を行った。企業とコンソーシアムを結成することで、全生徒に貸与を実施するのは全国初。1人1台端末による授業づくりや、企業と連携した新たな学習機会の創出が期待される。

今回、同校と日本SPR工法協会南関東支部=港北区=、(一社)スマートニッチ応援団=金沢区=の三者で結成されたのが、「定時制3.0DXスクールコンソーシアム」だ。老朽化した下水道や排水管の修理施工などを担う企業会員からなる同協会は、担い手育成などで若者との接点を求めていた。そこで、横浜を中心に企業・団体や学生と連携した企画やイベントを開催している同法人が間に入り、今回の連携が実現した。

同協会の支援により、今年度からの新入生に対してはタブレット端末が支給され、通信料負担もない。また、会員企業による出前授業やインターンシップの実施などで、生徒たちに仕事現場を知る機会を提供し、次世代の人材育成も目指していく。デジタル端末の管理や修理等は同法人が担当する。

人材育成に期待

GIGAスクール構想における1人1台端末は、2022年度入学生から高校でも促進されている。一方で、学校側から支給される小中と異なり、高校での端末の整備は各家庭に委ねられている。「社会に出てからのことを考えても、デジタル人材の育成は急務。特に定時制の生徒は、端末を用意するハードルも高い環境にある中、それをサポートすることができる今回の連携は大変ありがたい」と片受健一校長は感謝を口にする。企業と連携し全生徒にデジタル端末の貸与が行われるのは高校では全国初の試み。当初は来年度からの導入予定だったが、片受校長の熱意もあり前倒しでの実現となった。

4月9日に行われた入学式の後には、貸与式も実施。同協会の小原章裕支部長から代表生徒に目録が手渡された。その後は、コンソーシアムの関係者と21人の新入生で記念撮影も行われ、満面の笑顔が広がった。

小原支部長は「40以上の会員がいるので、たくさんの現場を見て、その上で自分の好きな道に進んでほしい」とエールを送った。片受校長も「学校現場に積極的に企業や外部の団体を巻き込んでいくことがこれから大切になる。今回の取り組みがモデルケースになってくれれば嬉しい」と笑顔を見せた。