加工肉や冷凍・冷蔵食品を子ども食堂などに届ける全国初の取り組みを、県と県内の中核的なフードバンク団体、食品会社が連携し3月から始めた。養豚大手のフリーデン(南金目)も連携に加わり、自社の加工肉などを寄付。衛生面などから提供が難しかった冷凍食品などが子ども食堂の食卓に並ぶことで、同社は「子どもに少しでも役立てられたら」と期待している。

県内の中核的フードバンクである「フードバンクかながわ」(横浜市)、「セカンドリーグ神奈川」(同)、「報徳食品支援センター」(小田原市)と、フリーデンを含む食品会社3社が県と連携。フードバンクが持つ冷凍設備や食料配布網を生かし、15カ所の拠点を通じて県内の子ども食堂に冷凍食品などを届ける仕組みを整えた。

食品は各拠点で月1回受け渡しが行われ、子ども食堂や地域食堂約500団体に配られる。フードバンクと食品会社などが連携し、冷凍食品を広範囲に届ける取り組みは全国初。食品会社は食品ロスの削減、子ども食堂はより多様なメニューを用意することができるようになるなど、双方にメリットが生まれるという。

ウインナーやシュウマイ提供

フリーデンは県のSDGsパートナーとして、これまでも食品ロスの削減活動を行ってきた。市内でも、小学校給食向けの食材提供や食育を目的とした教室を開催。金目公民館で開催される寺子屋では、自社の冷蔵ウインナーを提供するなどしてきた。

連携により、同社では賞味期限が迫って販売できなくなったウインナーやシュウマイ、餃子などの加工肉製品を提供するという。4月12日には、同社が製造する餃子の具約300kgが配送車に積み込まれ、連携するフードバンクの拠点に配送された。同社の担当者は「食品ロスの削減、SDGsの観点でも、自社の食品で地域貢献できるのはうれしいこと」と、取り組みの効果に期待を寄せた。

セカンドリーグ神奈川の担当者は「これまで常温の食品が主だったが、冷凍食品が提供できるようになってバリエーションも増えた。県がつないでくれた取り組みを継続できるように努めたい」と話した。