長谷川楽器店は「長谷川書店楽器部」として1958年に発足し、65年に会社組織となった。

父が立ち上げた同社に入ったのは24歳の時。レコードやCDなど音楽ソフトを販売していたこともあったが、現在は楽器の販売・修理、教室を事業の柱に据える。「音楽を始めたい、やりたい人をトータルにサポートできることが当社の強み」と語る。

昨年、サザンオールスターズの茅ヶ崎ライブが行われた際には「桑田佳祐さんが初めてギターを買った店」として改めて注目を集めた。「加山雄三さんや桑田さんが作ってくれた『音楽のまち・茅ヶ崎』というイメージを、私たちなりにかたちにできたら」と話す。小学生とその保護者の吹奏楽体験や、経験者ながら楽器から離れてしまった人を対象にしたイベントを企画するなど、普及にも力を入れる。

自身も吹奏楽の経験者で、チューバを担当した。「中学の時、入部が少し遅れたらチューバしか空いてなくて」と苦笑する。吹奏楽は大学まで続け「音楽を通じて仲間が増え、気持ちが豊かになった」と振り返る。最近では、学生時代に吹奏楽部員だった人が、教師や指導者になって再び来店するケースも多く「感慨深いですね」と話す。

「きっかけはなんでもいいし、始めるのもいつでもいい。『音楽をやりたい』と思った時、そのお手伝いができたら」と笑顔を見せた。