足柄上地域有数の観光地として知られる丹沢エリア。豊かな自然とゆったりと流れる時間を求め、毎年横浜や都内を中心に多くの人が足を運んでいる。今回は大型連休を目前に控えた同エリアのトップ2人に丹沢地域の観光を語ってもらった。

―お2人が伝えたい丹沢の良さや魅力について教えてください。

井上―いわゆる「景勝地」という感じの見て楽しむ観光ではなく、自然の中にどんどん浸かって『五感で感じる体験ができる場所』は首都圏ではなかなかない。中川温泉もあるので、『自然環境+温泉』というのが魅力だと思います。

佐藤―観光地っていうと、忙しくて交通量もあってみたいなイメージがありますが、ここは本当にゆったりモード。広いエリアだからくつろげる場所もたくさん。訪れる人が、その人次第でいろいろなパターンの観光を楽しむことができると思います。「また来よう」とリピートしてくださるお客様が多いのも、そのせいかもしれません。

―旅館組合と観光連絡会の連携は?

佐藤―エリアは広いですが少人数なので、事業者間の仲が良いのがここの特徴。観光連絡会が作ったチラシに旅館組合の割引券をつけたり連携しています。この地域で一日遊んで頂くために考えたのですが、すごく好評です。また、チラシ増刷の度に協力してくれる事業者さんが増えています。皆さんの観光に対する思いがどんどん強くなって、同時に仲間の輪も広がってきていると思います。

井上―私たちは旅館のウェブサイトやSNSでお食事場所の案内もしています。大手の事業者さんがおらず、中小規模のところがほとんどなので、個々の情報発信力はそれほどありません。だからこそ、それぞれが繋がり合い「地域」として盛り上げていくことがすごく大事だと思っています。

佐藤―そうですね。私たちも近隣店舗等の情報はできるだけお伝えするようにしています。例えば「あそこのお店は予約が無いと午後3時ぐらいに閉まっちゃうから、夕方に行くなら予約した方が良いですよ」とかでしょうか。おせっかいかもしれませんが、それはお客様とお店の双方にとって有益だと思うんです。

井上―来ていただいたお客さんは「丹沢地域全体でお迎えする」、そういう雰囲気があります。そんな「地元の人たち」もここの魅力なんです。

―今後長い目で見た集客や受け入れは。

佐藤―直近では新東名の開通ですね。今丹沢に来ている方の一番の悩みである、東名を下りてからの国道246号線の混雑の問題が解消されれば、首都圏から来るのも、もっと便利な場所になります。

井上―そうですね。来やすくなるので日帰りも宿泊も増えることが予想されます。あとはいかに今の素材を組み合わせていくかという提案ですね。宿泊と体験を組み合わせたり、一泊はキャンプ場で、もう一泊は旅館ということも考えられます。色々なことを体験してもらいたい。このエリアに来ていただいたお客様のニーズに応え、滞在時間や消費活動を増やしていただき、丹沢全体が活性化していけばと思います。

佐藤―あとは例えば手打ちそばのお店が多いところは「そばロード」なんて名前を付け、エリア一帯で盛り上げていくというのも手だと思っています。準備するにはもう今から始めないと。3年後なんて、すぐ来てしまいますから。

―大型連休のおすすめの楽しみ方は。

井上―今は一番新緑が綺麗で風が爽やかな季節。ゆったりとした時間とともに楽しんでいただきたい。また、体験型の観光もおすすめです。釣りやキャンプ、ハイキング、温泉もそうですよね。最近ではSUP、森林セラピーなど、本当に楽しみ方が色々あります。いつもよりほんの少し長い滞在をしていただければ、旅行の幅も広がると思います。実際、そういったご家族が増えてきたと感じています。最近はお客様がスマホで色々と調べて、きちんとタイムスケジュールを準備して楽しまれてる方も多いですが、私達も旬の情報を提供しながら、楽しい滞在を全力でサポートしていきたいと思います。

佐藤―そうですね、各々の施設に多くの方がお越しいただく時期です。ただ、このエリアはとにかく広いので、「大型連休」と聞いて多くの方がイメージするようなものすごい混雑はほとんどありません。そういった点では「穴場」とも言えます。都心からも近く、アクセスも良い。ストレスを感じず、リラックスして過ごしていただきたいですね。