茅ヶ崎市は4月22日、東海岸南在住のパラ水泳選手で今夏フランス・パリで開催されるパラリンピックの日本代表に決まった田中映伍さん(19・東洋大学2年生)と「スポーツ振興に関する協定」(スポーツアンバサダー協定)を締結した。今後は両者が協力して、パラスポーツの普及・振興や次世代育成に取り組んでいく。

茅ヶ崎市は2023年度から、世界や全国の舞台で活躍するアスリートを応援し、共同でスポーツ振興に取り組む目的で協定の締結を進めており、田中さんが4人目となる。

同日、市役所で行われた締結式では協定書の取り交わしが行われた後、佐藤光市長からアンバサダーの名刺などが渡された。田中さんは「パラリンピックが終わったら小学校などを訪問して、パラスポーツの魅力について話したい」と話し、佐藤市長は「さまざまなチャレンジをしてきた経験を子どもたちに伝えてほしい」とした。

ハンデ越え才能発揮

生まれつき両腕のない田中さんだが、幼い頃からサーフィンやサッカーなど多様なスポーツを楽しんできた。

16年のリオデジャネイロパラリンピックで同じ障害のある選手が活躍する姿を見て、中学生になって本格的にパラ水泳を始めた。

当初、練習していたのは萩園の市営温水プール。コーチもいなかったが、徐々に国内外の大会で結果を残すように。高校3年になって、本村の「パルバル湘南スポーツクラブ」で専門的な指導を受けるようになるとさらに記録を伸ばした。

大学進学後はナショナルトレーニングセンターで練習を重ねており、昨年の世界選手権(イギリス)では50mバタフライと200m個人メドレーで日本新記録を出した。

3月に静岡県で行われた日本パラ水泳春季チャレンジレースでは、50m背泳ぎで37秒43をマークして「派遣B基準記録」を突破し、S5クラス(両下肢の障害や手足の欠損がある人が対象)の日本代表に決定した。

田中さんは「選考レースでは記録が伸びず悔しい思いをしたが、今はワクワクする気持ちが強い。パリでは自己ベスト更新を狙いたい」と意気込んでいる。