厚木市は4月1日、自然を再興し生物多様性の損失を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ宣言」を発出した。同市が昨年度末、11年ぶりに改定した生物多様性あつぎ戦略に基づいて発出されたもので、計画に合わせて自然環境の保全・回復、次世代継承に向けた調査や啓発を行っていく。同様の宣言は、全国の自治体では9団体目、県内では初となる。

ネイチャーポジティブとは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「自然再興」を意味するもの。4月19日に行われた会見で山口貴裕市長は「今後、市民・事業者の皆さまと連携しながら、生物多様性の保全に取り組んでまいります」とコメントした。

厚木市では13年に最初の生物多様性あつぎ戦略を策定。16年には生物多様性の重要拠点となるあつぎこどもの森公園(中荻野)を開園した。また21年には市内の希少な動植物をまとめた「厚木市レッドデータブック」を作成・公表している。

改定された「生物多様性あつぎ戦略〜2024―2030〜」では、50年の目指すべき将来像を「自然のめぐみを育むまちあつぎ」とし、30年目標に「誰もが生物多様性を理解し行動することで、自然が回復しはじめている」を掲げる。市では今後、こどもの森などをフィールドに、動植物のモニタリング調査を行うほか、スマホアプリを使ったゲーム感覚で楽しみながらできる生きもの調査などを予定。市環境政策課では「生物多様性はまだまだ理解が進んでいない。認知度を上げていきたい」と話す。

※生物多様性…生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。地球上の生きものは3千万種ともいわれ、全てが直接・間接的に支えあって生きているとされる。