江の島と片瀬海岸が干潮時に地続きになる「トンボロ現象」について、藤沢市内の小中学生15人で結成する「藤沢探検隊」が、渡った人に記念証を発行するアイデアを市に提案し、今年度から採用された。5月から6月にかけての5日間、江の島北緑地広場でデジタル版トンボロ記念証が限定発行される。

海の水位が低くなることで海底が露出し、陸地と島を結ぶトンボロ。江の島では潮位20cm以下になる年間60日ほど、干潮時に1時間程度の「海の道」ができる。

同隊は、辻堂青少年会館を拠点に2017年から活動。青少年に郷土の魅力を伝えようとグループワークやまちあるきを通じた歴史探訪講座を実施しており、トンボロについても江の島の珍しい自然現象として積極的に事業に取り入れてきた。

昨年11月に江の島を探検した際には参加した隊員からこんな声が上がったという。「トンボロを渡った証がほしい」。珍しい現象だから、ほかにもそう思う人がいるのではないかと考え、市に要望書を提出することに。

隊員自らが歴史や希少性などを調べ、今年2月下旬、鈴木恒夫市長へのプレゼンテーションが実現し、記念証の発行を訴えた。

トンボロについては、市や市観光協会も新たな観光資源として着目。昨年度から発生が予想される日時の発信や、一部の日に北緑地広場へ仮設階段を設置するなど取り組みを始めている。

そうした経緯もあり、市観光課は「子どもたちの柔軟な発想で新しい提案がもらえた」と要望を採用。「紙の記念証は時間がかかるが、デジタル版にすることで素早く実現できた」という。

メンバーの中心になって要望書を作成した廣濱美晴さん(9)は、「海が渡れるのは幻想的。自分たちの考えた記念証ができてうれしい」と満面の笑み。同隊で指導にあたる関岡壽夫さん(82)は「子どもたちが自分たちで調べ、説明するなど素晴らしい提案だった」と隊員たちを称えた。

計5日間

記念証の発行は、北緑地広場に仮設階段が設置される5月10日、11日、26日、6月9日、22日の5日間。午前10時から午後2時頃まで。

片瀬海岸から海を渡り、同広場に設置された看板の二次元コードを読みとると記念証が発行される。雨天や荒天の場合中止。トンボロの発生予定や記念証について、詳しくは市観光協会ホームページへ。