生徒の自死を防ぐため、さまざまな取り組みを実践している県立横浜旭陵高校(旭区上白根町/大野俊世校長)。2024年度は不登校を未然に防ぐことも掲げており、4月から5月にかけて、各分野の専門家などによる学習活動が展開された。

全国的に高止まり状態にある生徒の自死を防ごうと、22年度から続けられている取り組み。今年度はこれまでの活動を続けるとともに、全国で増えている不登校を防止することも大きなテーマになっている。

4月と5月の学習内容は自他の認知特性を理解して他者との良好な関係性を築く手立てや、同校名物という認知行動療法、ストレスマネジメント。4月16日から5月8日にかけて生徒や教職員を対象に、学習活動や専門家による出前授業などが行われた。

特性の違い学ぶ

4月18日は、医学博士で「みくりキッズくりにっく」理事長の本田真美氏から、認知特性などについて学んだ教員が講師となり、2年生を対象に授業を実施した。

「認知特性」とは、五感から入ってきた情報を処理する能力のこと。聴覚、視覚、言語など、人によって物事を理解する手順には偏りがあるという。

中小路貴輝教諭は生徒に「ドラえもんと聞いて何を思い浮かべるか」と質問。すると、「ドラえもんのシルエット」や、「特徴的な声」など、さまざまな意見が寄せられた。中小路教諭は「人によって物事の感じ方は違う。自身の特性を理解することで勉強に役立てられたり、他人の考え方が理解できるようになる」と話した。

2年生の長澤諒枇さんと石井竜樹さんは「今まで交流のなかった人の考え方を知れて楽しかった」、「自分のことを理解する良い機会になった」と楽しんでいた。

4月25日には、桜美林大学准教授の小関俊祐氏と京都橘大学講師の杉山智風氏を招いた授業も行われた。同校では6月以降も引き続き、自死や不登校を防ぐ取り組みを続けていく予定で、大野校長は「これからも生徒のためになる取り組みを続けていきたい」と思いを語った。