「下店」「文右衛門」「万戸」「隠居」といった一風変わった表札。これは藤野地区の名倉で地域の親睦と発展に貢献したいと活動するなぐら談会(野崎勝也会長)が始めたもの。屋号を表札にしたもので、現在は22軒の表札がある。野崎会長は「名倉地域全体に広まって地域が盛り上がれば」と話す。

表札は、同じ藤野地区の篠原で取り組んでいたものを参考にした。「まちおこしに名倉でもやろう」と5年ほど前から構想を練り、篠原の表札を視察するなど研究を重ねた。製材、乾燥、塗装などはメンバーが行い、表札の木材は伐採したクルミの木を譲り受けて使用。金属部分は会員の鉄工所、文字は地域の書道教室に依頼している。木を1年程乾燥させるなど乾燥の方法が難しいようで、ひび割れやカンナ掛けが甘くて失敗するなど試行錯誤が続き、昨年10月にようやく完成。サイズは横35cm、縦15cm、幅4・3cmほどになる。

「地域を盛り上げるのが目的だから屋号は何でも良いんだよね」と野崎会長。「うちは『下店』。この地域は下組と呼ばれていたことと、昔は家が店をやっていたから。薬なんかを売ってたようだけど何の店だったかは知らないな」と笑う。市場正義副会長の屋号は「花詰草」。「屋号が無いから自分で考えたよ。芝桜を育てているから芝桜の別名にした」とそれぞれにルーツやストーリーがある。野崎会長は「通りがかりの人が何なんだろうと不思議がってくれたり、いいねって声を掛けてくれる。地域を盛り上げたいという思いに賛同してくれたり、表札を作りたいっていう人が増えてくれればうれしいね」と話した。