体長約5mmの昆虫「カシノナガキクイムシ(通称・カシナガ)」が媒介する「ナラ菌」によって、シイ・カシ類などの樹木が枯れる伝染病「ナラ枯れ」。カシナガが羽化することから、これからの季節は被害が増加しやすいとされる。

県内では、2017年度に初めて被害が確認され、大和市でも18年度に被害が確認されて以降、合計1376本の木が被害を受けていることが分かった。

ナラ枯れは大径木を中心に発生する伝染病で、被害木には幹に直径1・5〜2mmの孔が空き、根元に粉状の木くずや虫の排泄物が大量に発生するほか、菌の繁殖で水分を吸い上げる機能を失い、葉が急速に赤茶色に変色するのが特徴だ。

大和市では

市みどり公園課の調査によると、市内のナラ枯れの被害数は、18年度が18件、19年度が15件、20年度が337件、21年度が769件、22年度が196件、23年度が41件と推移。調査は同課の管理地で行われており、被害の半数以上が泉の森で、残りは各地の公園などに点在しているという。

同課は、20〜21年度の被害件数の急激な増加理由について「はっきりとは分からない」とし、それ以降の減少理由については「明確な理由は分かっていないが、気候や市で行っている対策の効果など、さまざまな要因が考えられる」と分析している。

同課によると「現時点では、市民に直接的な被害は出ていないものの、被害が拡大すると倒木によるケガ人などの発生が危惧される」という。

被害拡大を防ぐため、市では「神奈川県ナラ枯れ被害対策ガイドライン」に基づき、業者委託のもと、被害木を伐採し、断面に農薬を撒きシートで覆う「燻蒸(くんじょう)処理」を行い、カシナガの拡散防止につなげている。また、(公財)大和市スポーツ・よか・みどり財団の協力を受け、被害木の早期発見にも努めている。

同課の担当者は「自然の問題なので、被害を0件にすることは難しいが、被害の拡大を抑えることはできる。引き続き対策を行い、市民への直接的な被害を避けていきたい」と話している。