高尾山を含む八王子の「名山」を複数選出しようと、市民有志グループが候補の山を公募し、4月30日に選定結果を発表した。同グループでは今夏に向け「パンフレットやマップを制作し周知していけたら」と郷土理解や観光資源に役立てたい意向だ。

企画の名前は「TOKYO八王子名山選定プロジェクト」。市内の山岳団体「八王子山の会」の元会長・佐野聖文さんらが発起人となり、昨年の「山の日(8月11日)」に登山愛好家や山岳雑誌の元編集者など約20人で選定委員会を組織した。

同委員会によると、市内には130ほどの山があるという。選定にあたり候補の山を募るため、「市内にある思い入れのある山」を昨年11月から今年1月末までウェブサイト上で公募。その結果、市民に関わらず440件以上の応募があった。同委員会はこの中から実地調査などを行い、この度「TOKYO八王子名山」として36座、「隠れ名山」として52座をそれぞれ発表した。

醍醐丸、景信山

名山は、言わずと知れた「世界でもっとも登山者数の多い」高尾山をはじめ、市内最高峰となる高さ867メートルの醍醐丸、眺めに定評のある景信山、八王子市・あきる野市・檜原村の境に当たる一歩地山などが選ばれた。

選定基準は「眺望や山の形に個性があるもの」「原生林がある山」「郷土の生活や文化、歴史にゆかりがある」「動植物や昆虫の生息」「八王子の歴史にゆかりがある」などとしている。名山に順位はつけていないが、公募数は1位が景信山、2位が高尾山、3位が今熊山だった。

一方、「隠れ名山」は、「惜しくも名山からは外れたがハイカーだけでなく年齢問わず楽しめる山」として、山だけでなく峠や公園なども選定された。ひよどり山や御殿峠、野猿峠、富士森公園、宇津貫公園、長池公園などが選ばれた。

8月にイベント

同プロジェクトは、8月11日の「山の日」に合わせ、全国山の日協議会(新宿区)が行う山に関連する複合型イベント「山の日全国大会」が、今年は東京全域を会場とすることを受け立ち上がった。以前から佐野さんら登山愛好家の間で「八王子のご当地名山を選定できないか」という話があったことにも起因する。

名山を選定したことについて、佐野さんは「普段何気なく眺めたり、通ったりしている山や道に思い巡らせるきっかけになれば。登る際は、歴史や先人たちの暮らしを想い浮かべながら安全に登ってほしい」と話している。

今後は、郷土理解や観光資源として、紹介パンフレットやマップなどを制作する構想を立てているという。

同プロジェクトの公式ホームページでは、各山の選定理由や所在マップなども紹介されている。