秦野市出身でイリノイ大学准教授の山田亨さん(48)がこのほど、2023年度全米発明家アカデミー(NationalAcademyofInventors略称NAI)フェローに選出された。NAIフェローは、生活の質や経済開発、社会福祉などに多大な実践的影響を与えた学術発明家に与えられる最高の栄誉とされている。山田さんは「ノーベル賞受賞者も多く獲得しているNAIフェローに選出され、私がこれまで行ってきた研究を評価して頂き大変光栄に思います」と話す。

今回、評価されたのは、『細菌タンパク質に由来する腫瘍標的治療薬』に関する研究。山田さんは共同研究者とともに、ある種の細菌がヒトの腫瘍の成長を止める物質を作る能力があることを発見した。この発見は米国での臨床試験につながり、腫瘍学の分野に大きな影響を与えたという。

現在、この細菌由来の物質が抗がん剤として活用できるか調査するため、臨床試験を行っている。「小さな疑問や常識外にも、思い切って調査することが大切です」と語る。

探究心は幼少期から

山田さんは、本町小学校、本町中学校出身。幼少期は昆虫採集や魚釣りを楽しんだそう。「昔から関心を持ったものになんで?どうして?を連発し、その答えを探すタイプで今も本質的に変わっていない」と振り返る。2003年から米国に拠点を移し、大学での研究員を経て、現在イリノイ大学医学部外科、及び工学部生体医工学科の准教授に就任。ベンチャー企業でも活躍している。

今後は、微生物による抗がんタンパク質の能力の幅広く詳細な調査を研究目標に掲げる山田さん。「科学的興味を保ちながら、人々の生活に役立つことにつながっていけば」と意気込む。