6月が環境月間であることにちなみ、「ふじさわSDGs共創パートナー」として藤沢市内で地球環境に配慮した取り組みを進めている企業や団体などを紹介するシリーズ。第3回は「公益財団法人藤沢市まちづくり協会」に、着古して役割を終えた消防服をバッグや小物入れに作り変えるアップサイクルの活動について話を聞いた。

「袖先をカットしてスマホポーチにいいかもね。袖口のファスナーをそのまま使えるし」「子どもやワンちゃん用のリュックは」「黄色いテープをアクセントに大きめのトートバッグが作れそう」

同協会が運営する生きがい就労センター(鵠沼神明)。作業台には紺色の消防活動服や銀色の防火衣。洋裁作業を担当する会員たちが、これらの消防服をアップサイクルするアイデアを話し合っていた。

アップサイクルとは、捨てられてしまうものに価値を付けて新しい製品によみがえらせること。昨夏、市消防局から廃棄する消防服を活用できないかと相談された。他の自治体でバッグに作り変え、ふるさと納税の返礼品になっている事例などを知り、試作を始めた。

昨年11月と今年3月に開催された消防フェアで試作品を展示したところ、来場者から「買いたい」という声があり、反応は上々だったという。「生地のダメージも味わいと感じてもらえたようです」。同協会の山口みささんはそう話す。

防火衣は厚みや張りがある特殊な生地で作られているのが特徴だ。一般的な洋服生地と比べ、縫い目をほどくのに1・5倍ほど手間や時間がかかる。また、市消防局から一定量の消防服を安定的に調達するためには、今後クリアにしていく課題もあるという。

「材料の確保の方法など市消防局とも検討しながら、いずれは商品化して販売にこぎつけたい」と同協会。アップサイクルしたトートバッグや巾着袋とともに、防火・防災意識も携えていけるのではと期待する。