6月23日から29日は内閣府が「男女共同参画週間」として、性別にかかわらず、あらゆる人の尊厳が守られ、自分らしく生きられる社会の実現に向けた週間。本紙では、様々な取り組みを行う「男女共同参画センター横浜北」(あざみ野南1の17の3)の新堀由美子館長に取材し、男女が共にいきいきと暮らせる取り組みや課題、展望について聞いた。

2005年に開館、来年20周年を迎える男女共同参画センター横浜北。女性が社会に出るための就業や起業支援、心とからだのセルフケア、女性への暴力防止や被害者支援など、多岐にわたって事業を実施してきた。

内閣府は今年のキャッチフレーズを「だれもがどれも選べる社会に」と定め、同館では6月30日(日)に男性限定の講演と語る場として「産業医と語る男性×育児モヤモヤ」を開催する。

これまで同週間では、LGBTQや子育て中の夫婦など様々なテーマでイベントを企画してきたが、男性だけを対象とした試みは初めて。新堀館長は「男女格差解消に向け発足した機関のため、女性に対する取り組みが多い一方で、『男女共同参画』の名の通り、男性との関わりも増やしていけたら」と企画。

「イクメンという言葉が取り上げられるが、制度活用につながっていなかったり、仕事と育児に追い込まれて孤立し、相談する場がない人も少なくない。完璧すぎない育児のポイントを学ぶきっかけになれば」と新堀館長は話す。

ジェンダー平等

世界的に見て政治と経済の分野で、男女格差がいまだに大きい日本。2024年のジェンダー格差指数は118位(146カ国)で先進国では最下位。新堀館長は「政治や経済分野で指導的地位に女性が増えないことが要因の一つ。横浜市が市内事業所に対して行った調査によると女性役員がいる事業所では、いない事業所に比べて、部長相当職以下の各職位で管理職の女性比率が高くなっているという報告も出ている」と説明。一方で、女性の課長相当以上の比率は18・8%と前回(18・7%)から横ばい。現在は先送りにされているが、国が掲げていた2020年までに社会のあらゆる分野の指導的地位に女性が占める割合が30%という目標には、いまだに遠く、「引き続き取り組んでいかなければいけない課題」。

地域に浸透

能登半島地震でも課題にあがった災害時の男女共同参画の視点。災害時に女性の視点を反映できるように、意思決定者の中に女性や女性の防災リーダー的存在がいることが重要とされている。同館では地域防災拠点の運営委員長等を対象に男女共同参画の視点や地域での取り組みに生かせるヒントを伝える研修を11月12日(火)に開催する。新堀館長は「施設内の活動を地域全体に浸透させていきたい。テーマを問わず、平時から関わりを持つことが災害時など有事の際にも互いに意見を言い合える環境づくりにつながる。まずは、どなたでも当館を気軽に訪れてもらえたら」と語った。