鑓水を再び人の集まる場所とし、新たなコミュニティーを未来に向けて作っていこうと、活動している任意団体がある。「御殿峠プロジェクト」と題し、鑓水エリア周辺に拠点を構える企業や学校、社会福祉法人などの代表者7人が発起人となり、月1回の運営会議を開催している。

プロジェクト立ち上げの中心となったのは、八王子市や府中市で『ゆりかごから天国まで』を経営理念に保育園や介護施設を運営している(社福)多摩養育園。同法人が今年3月、鑓水にある障害者支援施設「精華」を建て替え。7月に落成式を行う予定だ。

歴史をつなぐ

御殿峠には、八王子から横浜、そして世界へ生糸を運ぶ道として賑わった絹の道だけでなく、1957(昭和32)年に体操教師に殴られて死亡した中学生を同園創設者の足利正明さんが偲び、「学生地蔵尊」を建立したり、供養のために「御殿峠文化の鐘」を掲げるなど、同園の事業の原点とも深く関わる歴史がある。同園の足利正哲理事長は「鑓水は歴史のある場所。先人たちが作った地域の人と人とのつながりを次の世代に引き継がなくては」と話す。

今後は、精華の一部を地域に開放する構想も。「福祉も、企業も学校も、みんな地域で繋がっている。”ごちゃまぜ”な居場所になっていければ」と足利理事長。