京急川崎駅前でバスケットやアーバンスポーツが楽しめる空間として定着した「川崎市若者文化創造発信拠点」、通称「カワサキ文化会館」。地域の再開発事業に伴い2025年度中の閉館が決まっているが、川崎市は6月12日、同区内の国道409号用地への移設を決め、新たな施設の整備と運営に関して株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)と事業実施に向けた協定を結んだ。

「カワサキ文化会館」の外観はパチンコ店だった当時のままだが、施設内はバスケットボールやスケートボードなどが楽しめるマルチパーパスコートが広がり、全身鏡とスピーカーを備えたダンススタジオがある。壁面を彩る大胆なグラフィティも印象的だ。

この施設は22年8月から、男子バスケットボール・Bリーグ1部の川崎ブレイブサンダースが運営。駅近、無料でバスケやスケボー、ダブルダッチなど多様なスポーツが楽しめ、手ごろに飲食ができる休憩場所もあることから、放課後の小学生から仕事帰りの会社員など、幅広い層に定着。ひと月のバスケ利用者は延べ1500人前後、施設全体では2500〜3000人という。

文化の融合にも期待

当初は再開発までの「期間限定」の予定だったが、予想以上に好評だったことから、市は約600メートル北側に代替地を確保のうえ移設を決めた。そして施設の整備と運営を担う民間事業者を公募したところ、川崎ブレイブサンダースの親会社であるDeNAが選定された。

DeNAの担当者は現在の施設について、「バスケが浸透した上に、バスケを練習しに訪れる子がダブルダッチに挑戦するとか、ブレイキンを練習した後でバスケも楽しんで帰るということが普通に起きている。若者文化が融合し、新たな文化が生まれるチャンスに満ちている」と高く評価。そのうえで「今の機能をそのまま移転し、これまで以上に『若者文化』の創造と発信ができる施設にしていきたい」と意気込みを語る。

28年には、近隣に川崎ブレイブサンダースの新たなホームアリーナが完成予定だ。DeNAの担当者は「若者文化のすそ野の広がりはバスケ人気にも直結する。可能性を広げていきたい」と話している。