コロナ禍でリモートワークの普及が進んでいますが、アメリカのマイクロソフトにおいて、Windows95、Windows98などのチーフアーキテクトを務めたソフトウェアエンジニアの中島聡氏は「リモートワークを誤解している人がいる」と指摘します。いったい、どういうことなのか。新著『ニュー・エリートの時代』を上梓した中島氏が解説します。

前回:コロナ以降も「仕事で淘汰されない人」の3条件

「リモートで働く人はWeb会議を多用」という誤解

先日、開発中の新しいサービスに関して取材を受けたときに、「開発メンバーの間のコミュニケーションは基本的にSlack(スラック/仕事向けのチャット・サービス)で行い、Zoom(ズーム)やSkype(スカイプ)を使ったミーティングすらしていない」と話したところ、とても不思議そうな顔をされてしまいました。

私のようなリモートで働くことに慣れた人たちは、ZoomやSkypeなどのビデオ通話によるWeb会議サービスを使って頻繁にミーティングをしているのでは、と誤解している人がやはり多いようなのです。

新型コロナウイルスの感染拡大で、にわかに注目が集まったリモートワークですが、私はすでにここ数年間、リモートでの仕事をしてきているので、コロナ危機下においても仕事に関しては何の不自由さも感じていません(スポーツや外食に関してはとても不自由に感じていますが)。メール、Slack、GitHub(ギットハブ)、GoogleDrive(グーグルドライブ)、Dropbox(ドロップボックス)などを活用して、逆にオフィスに通っていたときよりも生産効率良く仕事をしています。

注目していただきたいのは、私が使いこなしているツールにZoomやSkypeが入っていない点です。私からZoomミーティングを提案したことは一度もありません。他の人から「Zoomでミーティングがしたい」というリクエストを受け、参加することも週に1、2度ありますが、それも実はとても迷惑だと感じています。

私から言わせれば、初対面の人に(相手の時間を奪う)Zoomミーティングを申し込むこと自体がとんでもなく失礼なのですが、それをまったく理解していない人が大半です。多くの人が、「リモートで働いている人たちは、ZoomやSkypeを多用しているに違いない」と考えているようですが、大間違いです。そもそも、「リモートで働く=ZoomやSkypeでミーティングをする」という発想自体が間違いなのです。