新型コロナウイルス感染症が流行する中、経済的に不安定な状況に追い込まれ、心身のバランスを崩す人も少なくない。そのような人はどのように生きていけばよいのだろうか。長年うつを患いながらも会社を経営してきた起業家の林直人氏は「起業もひとつの選択肢である」と説く。著者『うつでも起業で生きていく』より一部抜粋してお届けします。

「小さいやる気」「波があるやる気」で生きていく

前回の記事「うつの人が苦しまずに仕事で力を発揮できる心得」(6月11日配信)では、「うつ病の人が実際に起業するにあたって、どのようなビジネスを選ぶべきか?」という話をしました。今回は、うつの人はどのようにしてモチベーションを保てばいいのか?について、お話ししていきます。

私はそもそもモチベーションという言葉が嫌いです。モチベーションがあるなしにかかわらず、危機感をベースとして、元気があるときはなにも考えずにどんどん仕事をするべきだと思います。

一方で、うつの人は体力に乏しく、なかなか膨大な量の仕事をすることが難しい側面もあります。そこで、どのようにすれば、うつの人の「小さいやる気」「波があるやる気」でも仕事を成功させることができるかについて、ここでは考えていきたいと思います。

まず、うつの人が「小さいやる気」をどのようにして大きく見せるかという話をしたいと思います。「小さいやる気」を大きく見せるために大切なのは、「限界費用ゼロ」という概念と、「錯覚資産」という概念です。それぞれ重要なキーワードですので、順を追って解説したいと思います。

まず、「限界費用ゼロ」という概念ですが、そもそも「限界費用」とはなんのことでしょうか? 「限界費用」とは「うつ病で限界」とかそういう意味の「限界」についての費用ではありません。「限界」というのは経済学の概念で、「AとBのあいだ」ぐらいの概念です。ここでの「限界費用」というのは「1単位増やすごとにかかるコスト」のことです。