学校の事故で、わが子を亡くしたり、子どもに重い障害が残ったりした場合、当人や保護者らの「その後」は、どうなっているのだろうか。実は、学校側が不誠実な対応を取るケースが少なくない。事故の状況を知ろうとしても、隠蔽や調査の未実施に遭遇する。逆に学校側や周囲から追い詰められ、孤立する事態すら起きている。経済的に破綻するケースも少なくない。学校事故の「その後」に何が起きているのか。2回に分けて現場をリポートする。

名古屋市で長年行われてきた「トーチトワリング」

「私たちも問題にしたかったわけじゃなくて、本当のことを言ってほしかっただけです。そこでうそをつかれると、何も信用できない。何でうそをつくのか、っていうところから始まってしまう」

中学校で火をつけた棒を使った演舞「トーチトワリング」の練習中、右腕に大やけどを負った鈴木文也君(15)の母・加奈子さん(37)(いずれも仮名)は、そう憤る。この事故は発生当時、ネットで拡散され、ひどい状況が多くの人を驚かせた。

事故は2019年7月、名古屋市の中学校グラウンドで起きた。当時2年生だった文也君は、同級生と一緒にトーチの練習に励んでいた。

トーチトワリングとは、棒の先に巻きつけたタオルに灯油を染み込ませ、火を付けて回す演技。長年、名古屋市を中心に愛知県内の小中学校の野外活動で披露されてきた。文也君の学校では、夏休み中の野外活動として、男子生徒約30人が披露することになっていた。

7月から始まった本格的な練習に、文也君はほとんど参加できなかった。7月上旬の約1週間、病気で学校を休んでいたうえ、再び登校を始めた後も欠席中の課題をこなさなければならなかったからだ。

文也君は事故の当日、灯油でべたべたのトーチに気づいていたが、そのまま握って練習に参加した。音楽に合わせて、トーチを振り回し始めて30秒もたたないうちに、火が服に燃え移り、右の手首内側からひじにかけてやけどを負った。病院へ駆けつけた加奈子さんも、目を覆うほど悲惨な状態だったという。

治療を終えて学校に戻ると、文也君は、教諭たちから心配の声を掛けられることもなかった。それどころか、「自業自得だ」「バチが当たった」などとののしられた。火が怖くなった文也君が本番への参加を断ると、教諭から「甘えるのか。当日できなかったら、みんながやっている中、突っ立ってろ」と一喝されたという。