このように鈴木先生の高校に通う保護者が過敏になってしまう理由の1つとして、鈴木先生は「不登校」の増加を理由に挙げます。

「地域の”底辺校”と呼ばれるような私が勤める高校に通う生徒には、中学校で一度、不登校になっている生徒も多いです。

そうすると、親が『とにかく学校に行けている状態を崩したくない』と考えている場合もしばしばあるのです。

ある生徒の親から『私たちの子どもが、中学生のときに不登校になって、家族がどんなに苦労をしたのか、先生たちは知らないですよね』と言われたことがありました。そういう家庭の親は、とにかく徹底して子どもの味方をしてしまうように感じています」

過剰に子どもを保護するのはいいことか

少子化もあり、1人あたりの子どもに大人が注ぐリソースや時間が増えているとみられる令和の現在。

先生からの教えを「成長のため」と親が容認してきた時代から大きく様変わりし、過剰に子どものことを保護するようになったケースについても、改めて考えていかなければならないと、30年以上教育困難校に務める鈴木先生の事例を聞いていて痛感しました。

鈴木先生への取材の第3弾では、コロナ禍での教育困難校の変化を取り上げます。

著者:濱井 正吾