1つの有力な方法は、日常生活のあらゆる場面の選択を「数学」を用いて考えることです。ここからは、1つ具体例を交えながら、その考え方を確認してみましょう。

皆さんは、スーパーで割引商品を探した経験はありませんか?

スーパーなどに買い物に行くと、「20%引き」や「100円引き」といったように、値引きされている商品を見つけることがあります。

あらかじめ告知されたセールで割引されている商品もありますが、多くの場合は、消費期限の近い商品や、閉店間近のスーパーにある生鮮食品などに割引シールが貼られています。

つまり、このまま売れ残ったら廃棄になってしまう商品に対して、多少利益が少なくなってもお客様に届けたいという思いで、お店側が値下げをしているのです。この仕組みは多くの人が理解していることでしょう。また、その値下げシールを狙って買い物をしている方も多いと思います。

この割引について、種類が多くてどれだけ安くなっているのかがわからない、という経験はありませんか? 単純なパーセンテージによる割引だけではなく、「レジにてさらに〇〇」というような商品もあり、結果的にいくらになるのかわからず、とりあえず「安そうだから」購入している、という人も少なくないでしょう。

しかしそれでは、本来買う必要のない商品を買ってしまっている可能性があるのです。

きちんと商品の値段を理解して、自分が買いたいかどうかを判断できるように、ここでは値段の数値化力を磨いていきましょう。

3つのパターン、どれがいちばんお得?

まずはこちらの問題を考えてみてください。

定価1000円の「お刺身盛り合わせセット」があります。スーパーでこの商品を1個だけ購入するとき、次の3種類の値下げの中で、いちばん商品が安くなるのはどのパターンの場合でしょうか?(ただし、今回は消費税については考えないこととします)

パターンA:「お刺身盛り合わせセット」に10%引きのシールが貼られており、「この時間帯はレジにてさらにお会計価格から20%引き」とアナウンスされている場合

パターンB:「お刺身盛り合わせセット」に200円引きのシールが貼られており、「この時間帯はレジにてさらにお会計価格から10%引き」とアナウンスされている場合

パターンC:「お刺身盛り合わせセット」に30%引きのシールが貼られている場合

いかがでしょうか。「お刺身盛り合わせセット」の値段がぴったり1000円なのでまだ複雑な計算にはなりませんが、それでもパッと3択を出されると、どれがいちばん安いのかがわからなくなるでしょう。