もちろん、神社やお寺に参拝しても、他の参拝者の人柄を知る機会はほとんどありません。にもかかわらず、人のいい部分をより知ります。この謎について、ひとつ私なりの解釈があります。

・社寺に参拝すると、知らぬ間に、ちょっといい人になる。

・社寺に参拝すると、知らぬ間に、ちょっといい人になったことで、ちょっといい影響を人に及ぼすようになり、近所の子供や住民にも、ちょっといい影響を与える。

この根拠は、拙著『成功している人は、どこの神社に行くのか?』(サンマーク出版)でおこなった1200人の調査データです。神社参拝とお墓参りの両方をする人たちには、性格に特徴があったのです。

「業績が上がり、健康な人」が実践する秘訣

人の性格の中で、「この性格の人は、採用するといい人材の可能性が高い」と分かっている性格がひとつだけあります。その性格は、「誠実性」や「勤勉性」という言葉であらわされます。

性格の基本を5つに分類するビッグファイブ・モデルというものがあります。性格をあらわす言葉を辞書からすべて拾って、統計分析をくりかえす調査研究が長年おこなわれたのですが、現在はこの5つの分類に落ち着いています。

①外向性(にぎやか、元気、おしゃべり、活発、人付き合いに積極的)

②協調性(親切、やっかいでも人を助ける、人情がある、思いやりがある、世話好き)

③誠実性・勤勉性(徹底的、計画的、注意深い、根気がある、仕事に精力的)

④情緒安定性・神経症傾向(穏やか、落ち着いた、おおらか、心配しない)

⑤知性・開放性(本質を見抜く、分析的、好奇心がある、広い知識、豊かな発想)

5つの性格の中から誠実性・勤勉性に注目したのは、職業上の成績評価と最も関連するからです。誠実性・勤勉性の高い人は、会社での評価も高い傾向にあるのです。

また、誠実性は長生きと関連します。『長生きの統計学』(川田浩志著/文響社)に紹介されている、米国の国際的な疫学専門誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー』に掲載されたヘルシンキ大学の研究者らによる調査では、ビッグファイブ・モデルの5つの性格の中で、誠実性(勤勉性)のみが死亡リスクと関係。誠実性(勤勉性)が高いと判定された人たちは、低いと判定された人たちよりも、死亡リスクが30%以上低いと報告されています。