先ほどの例では「前日比」で考えましたが、「前の1時間との比較」「前の10分との比較」というふうにより時間間隔を短くしていくのです。1日(24時間)で10万のポスト数、という数値は同じだったとしても、分解してみるとまったく違う分布をしている場合もあります。18〜20時の2時間で9万5000ポストを占めていた、なんてこともありうるわけです。

このように考えると、時間を細かくすればするほど、「流行」の正確性は高まる、ということがわかります。この「分解」の営みは、まさに高校数学で習う「微分」の考え方なのです。

微分とは、数学の分野で用いられる概念で、ある関数の瞬間的な変化率や勾配を調べるためのものです。具体的には、関数のグラフ上のある1点における接線の傾きを求めることが微分です。これによって、その点での関数の増加や減少の速さがわかります。数学以外にも、物理学、工学、経済学など多岐にわたる分野で応用されています。

体温計にも使われている微分

このように、「トレンド」と「微分」には親和性があります。「瞬間の変化」を捉えることが、まさに流行を理解することになるのです。

この微分は、実は日常生活のさまざまな場所で活用されています。その1つの例が、「体温計」です。みなさんは、具合が悪くて病院に行ったときや、体の火照りを感じたときなど、日常生活において定期的に「体温」を測ることがあるでしょう。特に近年では新型コロナウイルスの流行によって、体温を測る機会も増えました。

この体温計には、「実測式」と「予測式」の2つの種類があるのです。そして、おそらくより多くの人にとってなじみのある、数十秒ほどで体温が計測できるものは「予測式」体温計であり、この予測には微分が使われています。