日本人が驚くドイツ人の「空気を読まない」気質 「忖度」なんてあり得ない徹底した個人主義

日本人が驚くドイツ人の「空気を読まない」気質 「忖度」なんてあり得ない徹底した個人主義

日本人と比べて、他人の感情を尊重したり、まわりの空気を読んだりしないドイツ人。そんなドイツ人特有の気質が醸成された背景を、在独ジャーナリストの熊谷徹氏が解説します。

ドイツに29年住んで、この国ではもはや良好なサービスを期待しなくなった。「ここはドイツなので、よいサービスはない」と思うようにしている。

以前、食堂の店員がコースターを客の前に手裏剣のように投げた姿を見かけたことがある。その場にいたある日本人は「ドイツに5年間住んでいるが、こうした態度には、いまだに慣れない。客に対して最低限の思いやりがない」と憤慨していた。

多くの日本人は、目の前に物を投げられると「邪険に扱われている」と不快に思う。繊細な客の中には、犬や猫の前に餌を投げる情景を連想する人もいるだろう。

しかし私はこのとき、店員がコースターを客の前に投げるのを見てもまったく怒りを覚えなかった。その理由は、「この国のサービスというのはこんなものだ」と悟っていたからである。以前私は会議の席で、ドイツ人が自分の名刺を客に1枚ずつ手渡さずに、テーブルの上に投げたのを見たことがある。名刺すら投げる人がいるのだから、飲み物のコースターを投げられたくらいでは驚かない。冷静に考えれば、それで何か不都合なことが起こるわけではない。あくまで気分の問題である。

サービスに期待してはいけない

つまり、サービスに対する期待度を下げてしまえば、サービスが悪くてもあまり不快に思わない。「自分はお客様なのだから、よいサービスを受けて当たり前だ」と思い込んでいると、サービスが悪いと頭にくる。腹を立てると、その日は損をしたような気がして楽しくない。いやな思いをするのは結局自分である。

私もドイツへ来た1990年ごろには、サービスの悪さについてしばしば腹を立てていた。だがこの国に長らく住んでいるうちに、「ドイツだけでなく、日本から一歩外へ出るとサービスは基本的に悪い」という考え方が身についてしまった。いくらじたばたしても、他人の行動や考え方を変えることはできないので、自分の感受性を変えたのだ。サービスに対する期待度を下げると、スーッと気持ちが楽になる。私の態度について、「悪いサービスの前に降伏したのか」とあきれる人もいるかもしれないが、このほうが精神衛生上、メリットが大きい。


関連記事

おすすめ情報

東洋経済オンラインの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

経済 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

経済 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索