輸出規制で「日韓経済全面戦争」に突入するか 半導体から電気自動車まで代替品確保の動き

輸出規制で「日韓経済全面戦争」に突入するか 半導体から電気自動車まで代替品確保の動き

日本が輸出規制をさらに強化すれば、半導体業界の衝撃はもっと大きくなる。ファウンドリー(受託生産)市場の拡大を謳歌してきたサムスン電子は、今年から極紫外線(EUV)技術を導入中だ。EUV用感光液がすでに輸出規制の対象であり、EUV用のブランクマスクは日本のHOYAが独占的に供給している。

韓国でもS&Sテック社がブランクマスクを生産しているが、HOYAが世界市場の70%を占めており、技術力格差も大きい。しかし、エッチングガスやフォトレジストよりは代替可能性が大きいと半導体業界では見なされている。サムスン電子関係者は「ブランクマスクの日本輸入依存度は高いものの、7月の輸出規制3品目と比べると在庫も十分に確保されており、代替する余地もある」と言う。

半導体の基になるシリコンウェハーも日本からの輸入依存度が高いが、代替が不可能ではないという。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によれば、微細工程ウェハーの市場シェアは、日本の信越化学とSUMCOなどが50%超を占めている。

だが、韓国のウェハーメーカーであるSKシルトロンの技術水準が高く、日本産と代替できるものと思われる。半導体業界関係者は「主要素材の代替品を開発し、既存の装備の性能を高めるなど、日本の輸出規制の影響を最小限にする方法を探している」という。

電気自動車バッテリーや水素自動車へも影響

自動車分野への影響も頭が痛い。まず影響が予想されるのは、電気自動車用バッテリーと水素自動車の水素燃料貯蔵容器をつくる炭素繊維の分野だ。バッテリーはLG化学やサムスンSDI、SKイノベーションなど韓国企業が世界最高レベルの製造技術を持つ。問題は、主要素材を日本から輸入していることだ。

電気自動車用バッテリーは陽極材、陰極材、電解液、分離膜など4つの主要素材で構成されるが、日本企業は分離膜の市場シェアが高い。東レ、旭化成などの企業がサムスンSDIとLG化学に分離膜を供給している。

韓国ではSKイノベーションの子会社であるSKアイイーテクノロジーが高品質分離膜を生産している。SKイノベーションは日本からの分離膜の輸出が制限される場合、韓国国内などライバル会社に分離膜を供給できる立場だ。同社関係者は「ライバル会社ではあるが、韓国のバッテリーメーカーに分離膜を供給する意向はある。技術流出をめぐってLG化学と係争中だが、国益を考えればLG化学にも分離膜を供給できる」と言う。

炭素繊維は日本の世界シェアが60%を超えるが、6カ月以内に韓国産製品に代替できると関連業界は言う。炭素繊維は現代自動車の水素電気自動車「NEXO」に搭載される水素燃料貯蔵容器などに使われる。現在、同車種に搭載される水素燃料貯蔵容器は、韓国企業のイルジン複合素材が生産している。

この容器の素材として使われる高強度炭素繊維は、日本の東レの韓国法人である東レ先端素材の工場で生産し、供給されている。非常に重要な中間財であるプリカーサー自体は戦略物資に入っていない。ただ、戦略物資である炭素繊維の原料や設備を戦略物資として見なされれば、その輸出は規制される可能性がある。


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