そもそも任天堂は従来、故・岩田聡社長がガチャシステムのような大人でも子どもでも大金を支払わせるような仕組みについて、「そういうビジネスは絶対に長続きしないと信じています」と明言するなど、ガチャ課金は「ゲームの本当の楽しさをなくしてしまう」と一定の距離を取っていた背景があります。

ただ、買い切り型でリリースしたスーパーマリオランが思ったようなヒットにならなかったため、ファイアーエムブレム ヒーローズやどうぶつの森ポケットキャンプでガチャ課金を導入し、議論を巻き起こしてきた歴史もあるわけです。

ゲーム業界においては、アップルが月額600円でさまざまなゲームがプレイし放題になるApple Arcadeというサービスを開始し、GoogleもStadiaという新しいゲームストリーミングサービスの開始を予告するなど、大きく環境が変わろうとしています。

月額500円戦略の成否が任天堂の分岐点になるか

そんな中、任天堂としては今回のマリオカートツアーを、あえてアップルのApple Arcadeとほとんど変わらない月額500円という料金で投入しており、このビジネスモデルがある程度機能するかどうかが、今後の任天堂のスマホゲームのビジネスモデルを考えるうえで非常に重要な分岐点になると言えそうです。

ちなみに、一方のドラクエウォークも基本的な課金の仕組みはガチャですが。個人的に面白いと感じたのが、「おみやげ」課金への挑戦です。

ドラクエウォークは位置情報ゲームというゲームの特性を生かし、特定の地域に訪問するとゲーム内のおみやげを入手する仕組みが実装されています。

このおみやげは、自分用の1つだけは無料で入手できるのですが、ついでに友達にプレゼント用のおみやげを5個まで有料で購入することができます。筆者自身も鹿児島出張があった際に、近くに西郷隆盛のおみやげを入手できるスポットがあったため、思わず友人にプレゼントするための課金に踏み切ってしまいました。

現在のところはおみやげがドラクエウォークの全体の課金額に占める割合はかなり小さいと想像されますが。

いわゆる実際のお菓子などのおみやげとは別に、こういったバーチャルアイテムを友人にプレゼントするための課金の仕組みというのは、位置情報ゲームならではの課金の可能性を感じます。

たかがスマホゲームの話と思われるかもしれませんが、既存産業が変化の過程で新しいビジネスモデルを模索するプロセスは、どんな企業にとってもきっと参考になる点があるはずです。

著者:徳力 基彦