東京の観光地・新大久保は、人気フードが生まれる街としても有名だ。例えば、「チーズハットグ」や「チーズタッカルビ」が新大久保での人気をきっかけに、全国的なブームに発展した。今回はそのブームの立役者の姿を追ってみた。ライターの室橋裕和氏による『ルポ 新大久保 移民最前線都市を歩く』より一部抜粋・再構成してお届けする。

新大久保でいま最大のヒット商品はもちろん、ハットグだ。この韓国風のアメリカンドッグを求めて、というより写真を撮ってSNSに載っけるために、日本人女子が大挙する。

新大久保最大のヒット商品「チーズハットグ」(写真:ささざわ/PIXTA)

「韓国では前から、ハットグは手頃なジャンクフードとしてよく食べられてたんですよ。アメリカンドッグに砂糖をまぶして、ケチャップとかハニーマスタードとかつけて。1000ウォン(約100円)くらいで安くてね。それに伸びるチーズを入れたものが出て、SNS映えで人気になったのが5年くらい前かな。どんどん店が多くなって、具やソースもいろいろバリエーションが増えていったんです」と話すのは金泰林(キム・テリム)さん。

「アリランホットドック」を切り盛りする金泰林さん(写真:筆者撮影)

来日10年になるニューカマーだ。大人気ハットグ店のひとつ「アリランホットドック」を切り盛りする。大久保通りの路面店に立ち、「おいしいよー、食べてってねー」「おいしくなかったらお金はいりません!」なんて客を呼ぶ。中高生くらいだろうか、女の子たちが行列をなし、おじさんとしては居場所がなく、挙動不審におろおろしてしまう。そこへ店のアルバイトの韓国人のイケメンが、さわやかな笑顔でドッグを差し出してくれたのだ。

「ハットグ」が女子の心をつかむ理由

「店でいちばん人気のポテトレーラです」

中心の棒にモッツアレラチーズを巻きつけて、角切りのポテトを衣代わりにして揚げた、なかなかボリューミーなやつだ。店頭に置かれたココナツパウダーとか、きな粉とかをお好みでまぶすとおいしいのだという。

「あっ、ボクがやりますね。両方つけるのがおすすめなんです」

イケメンはかいがいしいのであった。あつあつのポテトレーラにパウダーをつけて、改めて「どうぞ」なんてやさしい笑顔。この街にハマる女子の気持ちが少しわかるような気がした。