今年6月に予定される静岡県知事選挙の最大の焦点は、「リニア」である。川勝平太知事は昨年暮れ、突然、リニア工事凍結宣言の表明をJR東海に迫った。川勝県政の継続となれば、事実上、静岡工区の工事凍結は続く。自民県連は有力な候補者を立てて対抗したいが、新型コロナの影響もあり、擁立は難航する。今夏、知事交代がなければ、リニア計画の未来は真っ暗である。

なぜ、県知事の座がそれほどまでに大きな意味を持つのか?

リニア工事の最難関とされる南アルプス静岡工区は地下約400mにトンネルが建設される。昨年、JR東海社長や国土交通省の事務次官が県庁を訪れ、トンネル本体工事とは無関係の準備工事再開を要望したが、知事はトンネル工事の一部とみなして拒否した。そんな無理無体が通るのは、県知事の許可権限が強大だからである。

リニアトンネルは県管理の大井川直下を通過する。たとえ、地下400mの大深度であっても、JR東海は河川占用の許可を得る必要がある。知事は中下流域の「利水上の支障」を盾に認めない姿勢を崩さない。

知事は内心では立候補を決めている

国は、知事権限を召し上げることができないから、有識者会議を設置して、水問題の解決を図ろうとする。知事は有識者会議が結論を出しても、県専門部会に諮り、地元の理解を得ることまで求める。たとえ、水問題が決着しても、南アルプスの自然環境に問題ないことをすべて示せと要求している。

知事がJR東海に工事凍結宣言の表明を迫るのも、ひとえに知事の強大な権限がバックにあるからだ。だから、6月の知事選で「リニア」問題は大きな山場を迎える。

7月4日任期満了を迎える川勝知事は4選出馬を内心ではほぼ決めている。

昨年12月23日の会見で、出馬を問われた知事は、2011年3月11日の東日本大震災発生後、被災地の統一地方選が延期された事例を出したあと、「現在は、リニアとコロナの危機という真っただ中にあり、それ(東日本大震災)に匹敵するという認識を持っている。平常と同じことをするべきではない」などと述べた。