日本の新幹線輸出唯一の成功例、台湾高速鉄路(高鉄)が1月20日、日本企業連合の新規車両購入に関する交渉を打ち切り、第三国からの購入も含めて新たな調達を模索することとなった。高鉄の今回の決定は第2次安倍政権以降、国策として推進してきたインフラ輸出にも今後大きな影を投げ落とすこととなろう。

高鉄はこの日、役員会を招集。日立製作所・東芝を中心とする日本企業連合の新規車両購入に関する対応を緊急討議した。高鉄は2019年2月、旅客需要の伸びから新規車両購入を決定、世界の車両メーカーに入札を呼びかけたが応じたのは日立・東芝を中心とした日本企業連合だけ。この時、入札価格と高鉄側希望価格の間に大きな隔たりがあったため、昨年8月に再度入札を行ったが、価格差は埋まらずこの決定に至った。

「なぜN700Sよりも高いのか」

高鉄は12両1編成で12編成の新規購入を予定。このうち8編成を入札にかけた。現地報道によれば日本連合が高鉄に提示した1編成当たりの価格は50億台湾ドル(約186億円)。一方で、高鉄の関係者は日本連合の入札価格は8編成で233億台湾ドル(869億円)、つまり1編成当たり29億台湾ドル(108億5000万円)としている。

高鉄は現在使われている700T(東海道山陽新幹線700系の台湾仕様。Tは台湾のT)を2012年に4編成を追加購入しているが、この時の1編成価格45億9000万円の倍以上に相当する。しかし、今回新規購入をするのは700Tではなく、700Tの後継車両。日本メーカーが製造するとしたら、最新の東海道新幹線N700Sを台湾向け仕様に改める可能性が高い。高鉄関係者は怒気を隠さずにまくしたてる。

「N700Sは日本では1編成16億台湾ドル(約60億円)と聞いている。それが台湾向けになるとなんでこんなに跳ね上がるんだ!」

高鉄は日本企業連合に抜き差しならぬ不信感を抱いている。高鉄の開業は2007年。これまで12両編成34本の700Tを購入している。しかし、700Tの原型となった700系は2020年に東海道新幹線から退役。これに伴って700T用のパーツも製造停止となり、高鉄は新型車両の購入を模索しなければならなくなった。