新型コロナの感染拡大によって大きな打撃を受けている飲食店。とりわけ居酒屋は大幅に売り上げが落ち込み、経営の危機に瀕している。政府や自治体からの支援は事業所ごととなるので、個人経営の店よりも複数の店舗を構える大手チェーンのほうがより深刻だ。

「世界の山ちゃん」といえば、コショウ辛さが際立つ「幻の手羽先」が有名な名古屋を代表する居酒屋チェーンである。関東や関西、海外にも展開していて、コロナ前は年商80億円だったのが、コロナ禍で売り上げがマイナス70%まで落ち込んだ。

「幻の手羽先」に代わる名物を模索

JRと名鉄、地下鉄、バスが乗り入れる金山駅は、名古屋駅や栄駅に次いで利用客が多く、周辺には数多くの居酒屋が軒を連ねている。「世界の山ちゃん」もこのエリアを重要視しており、6店舗を出店していた。ところが、新型コロナの影響で3店舗を撤退、現在は金山総本店と金山西店、金山南店の3店舗になってしまった。

「金山エリアだけでも年間5億円以上の売り上げがありました。とくに25年間にわたって営業していた金山店を閉めるのは断腸の思いでした」と、語るのは「世界の山ちゃん」を運営するエスワイフードの業態開発部長、堺和也さん。

エスワイフードの業態開発部長、堺和也さん(筆者撮影)

堺さんは2018年12月、名古屋・栄に飲茶が楽しめる新業態店「世界のやむちゃん」をオープンさせた。その人気はすさまじく、ランチタイムが過ぎた14時から16時でも満席の状態が続いた。客層の大半は女性で、これまで「世界の山ちゃん」に足を運んだことがなかった客層を取り込むことに成功したのである。そんな堺さんに課せられたのは、旧金山店を新業態店へとリニューアルさせることだった。