山内 英貴(やまうち ひでき)/GCIアセット・マネジメントCEO。1963年生まれ。東京大学経済学部卒。日本興業銀行でトレーディング・デリバティブ関連業務に従事した後、2000年4月に独立し、ヘッジファンド運用に特化した資産運用会社グローバル・サイバー・インベストメント(現GCIアセット・マネジメント)設立。2007年4月より東京大学経済学部非常勤講師。主な著訳書に『LTCM伝説』(共訳:東洋経済新報社、2001年)、『オルタナティブ投資入門(第3版)』(東洋経済新報社、2013年)、『エンダウメント投資戦略』(2015年、東洋経済新報社)がある(撮影:梅谷秀司)

第2に注目すべきは、アメリカのドルが基軸通貨としての地位を維持できるかという問題だ。この40年間でドル金利は20%超からゼロまで来た。その間、基軸通貨はドルのみで、金準備もない。世界の経済は米ドルと米国債への信認で成り立っている。かつてのプラザ合意のときのようにアメリカの双子の赤字など持続可能性が不安視され、ドルへの信認が揺らぐことはありうる。

ただし、先回りして言うと、今の法定通貨としての中国人民元がこれに取って代わることはないとみている。グローバルな信認を得られないからだ。一方、主要中央銀行が取り組みを本格化し始めたデジタル通貨はありうるのでないか。そこは規制のさじ加減もあるが、将来ドルへの一極集中が変わる可能性はある。

2021年に株価大暴落のリスクは小さい

――先週は長期金利の上昇から市場が動揺しました。今お話のあったトレンドが変わる、株式市場が大崩れするといったことは今年、起きるのでしょうか。

「今」を考えると、そうしたリスクは小さいとみている。2021年の年頭に当たってキーワードは「慎重なる楽観」と考えた。基本的には昨年3月のように大きく下がる心配はないと思っている。2016年のほうがむしろ「中国は大丈夫か」と心配していた。

第1に金利とインフレの行方だが、まず、総掛かりでコロナ対応に当たっている中央銀行が現状で引き締めに転じて株価暴落の引き金を引くようなことは、考えられない。また、長らく続いた国債の強気相場は終わったと見ているが、それでは一転してどんどん長期金利が上昇していって金融市場が混乱するような事態になるかといえば、そうはならない。仮にそうしたリスクが顕在化するとしたら、各国中銀と政府はコロナ禍対応が水泡に帰することのないよう、阻止に動くだろう。