世界の株式市場の値動きが荒くなっている。アメリカの長期金利上昇が懸念され、日本でも3万円の大台にのせた日経平均株価が2月26日に3万円を割り込んだ後、3月4日には2万9000円も下回った。

アメリカの10年物国債金利は2月25日に1.6%に一瞬達する急騰をみせた後、翌日には1.4%前後に低下するなど、高い変動率を伴いながら約1カ月で約0.4%も上昇した。

オファー・ビット(売り手の希望価格と買い手の希望価格)の価格差が広がるなど債券市場の流動性が低下したことが、米欧の長期金利の大きな変動をもたらしたとみられる。多くの債券投資家が想定していた水準を超えて長期金利が上昇したことで、需給悪化への思惑から売りが売りを呼んだのだろう。そして、妥当な金利水準が不明になり投資を手控える動きが強まったことも、パニック的な売り(大幅な金利上昇)を招いた。

なぜ「新たな材料」もないのに長期金利が上昇したのか

もっとも、今年1月半ばから、アメリカの経済動向そして金融財政政策など、本来長期金利に影響する重要かつ新たな材料はほとんどないので、ファンダメンタルズ要因で最近の金利上昇を直接説明することは難しい。

実際には、アメリカ経済正常化が実現するとの思惑は、昨年の大統領選挙後から、金融市場の中ではくすぶっていたのだろう。そして、2月19日のコラム「アメリカで『ひどいインフレが起きる』は本当か」で紹介した、ジョー・バイデン政権が打ち出した財政政策がインフレをもたらすリスクを指摘するハーバード大学のローレンス・サマーズ教授の発言などが報じられ、経済状況を改めて認識した債券投資家の心理が揺らいだとみられる。