全国の鉄道会社が輸送人員を減らす中、茨城県を走るひたちなか海浜鉄道湊線が元気だ。コロナ渦の影響を受けつつも、3月13日に新駅「美乃浜学園駅」を開業させた。

そして、1月15日に湊線の3.1km延伸も決定し、2024年開業に向けて動き出している。コロナ渦で元気がない中で、なぜひたちなか海浜鉄道は元気なのか。吉田千秋社長に話を聞いた。

――コロナ渦で鉄道に明るい話が少ない中で、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸が決まりました。美乃浜学園駅も開業しましたね。かつて廃線の危機にあった路線が、全体として輸送人員を伸ばし、新駅や路線延伸に結び付いたのは驚異的です。秘訣はあるのでしょうか。

日本の人口自体が減少していますから、全体としての鉄道利用人員が減るのはしかたないと思います。でも地方鉄道は経営努力の余地があると感じます。湊線には”伸びしろ”が多くあり、そこを突けたのが大きいと感じます。

キーマンがいると違う

――湊線の活性化に行政がはたした役割は?

市長の「鉄道を残す」という姿勢にブレがありませんでした。銀行が茨城交通に「不採算部門を切り捨てなければ融資不可」と要求していたとき、市長が銀行に直談判したのです。キーマンがいると違うと思います。

――伸びしろとは、おさかな市場、アクアワールド、国営ひたち海浜公園といった観光資源でしょうか。

おさかな市場とアクアワールドに年間100万人、ひたち海浜公園が同200万人が訪れます。私が在職していた富山地方鉄道の立山黒部アルペンルートが100万人です。1つの市が400万人の観光客が訪れる施設を抱えているのは、“おいしい”ですよね。

――そうした施設と連携されたのですか。

おさかな市場の商工会議所と連携し、湊線の乗車証明書を持つお客様には食事や買い物で割引が受けられるなどの“おまけ”を付けました。また、施設や旅行会社とも連携しおさかな市場、ひたち海浜公園を結ぶツアーに、湊線を組み込んでいただきました。

ひたち海浜公園は、入場券付きの乗車券を持つお客様を団体客とみなして、海浜公園側で団体客として入場券を回収しました。団体料金が適用される入場料金割引も重要ですが、より重要なことは「お待たせしない」ことです。海浜公園は混雑するとバスでも乗用車でも入場許可券が必要ですが、鉄道利用者は「乗車券付属入場券」で待たずに入場できるようにしてもらいました。これで鉄道のほうが利便性は高くなりました。現在では前売り券を買えば、車やバスでもそのまま入れるようになりましたが。