北朝鮮による東京オリンピック不参加の発表は、明らかに韓国、日本双方にとって残念なニュースだった。韓国政府は北朝鮮との関係を再び活発化させようと必死の努力を続けてきており、オリンピックをそのための舞台として利用するつもりだった。一方、日本は北朝鮮に続いて、新型コロナウイルスの脅威を理由に不参加を決める国が出てくるのではないかと危惧している。

経済が機能不全に陥っている

ただ、北朝鮮のこの動きは予想できたものだった。オリンピック不参加の決定は、ここ数カ月のうちに北朝鮮で表面化していた問題のごく一部でしかない。最大の問題はパンデミックにほかならない。これにより、国境を越える貿易はほぼ途絶し、感染拡大に対処できる医療保健システムの欠如が露呈した。

諸問題の根底にあるのは、システムの破綻と国際的制裁により、経済が機能不全に陥っていることだ。これにより北朝鮮政府の貴重な外貨収入の多くが失われている。目にはほとんど見えないが、最大の危うさをはらむのが反体制感情の高まりである。抵抗につながる動きを抑え込むため、金正恩政権は内部統制を強め、強力なイデオロギーキャンペーンを加速させている。

最近脱北した人たちから集められた情報、あるいは、国連専門家パネルが国連安全保障理事会に提出した年次報告は、こうした危機の高まりを示す重要な証拠である。

しかし、最も明確な証拠は、金政権そのものに見出すことができる。1月の朝鮮労働党大会以来、政権は自らの失敗を率直に認めているのである。4月7日、北朝鮮最高指導者の金正恩は、労働党に対し「この過去最悪の状況にあって、われわれはかつてないほど多くの困難を克服せねばならない」と呼びかけた。

北朝鮮の経済・社会生活の最小単位までカバーする党幹部ネットワーク「細胞書記大会」は、生産拡大にスターリン主義的手法が用いられることを示し、国民の不満を抑えようと呼びかけるものであった。北朝鮮報道機関はこう伝えている。「党細胞は先頭に立って反社会主義的、非社会主義的行動を速やかに排除し、道徳規範確立を強力に推進しなければならない」。