人口約1900万人の南米チリでは、今年2月3日から猛烈なスピードで新型コロナウイルスのワクチン接種を実施して、累計接種回数ではアメリカ、イスラエル、イギリス、アラブ首長国連邦に交じってトップの一角を形成していた。3週間で人口の16%にあたる300万人が接種を終え、現時点ですでに700万人が1回目の接種を、400万人が2回目の接種を終えている。

これは、全国1300カ所で接種できるような体制にしたことにあり、今回のことでチリはラテンアメリカで最も組織力のある国であることを証明した。これはあくまで筆者の私見であるが、チリには19世紀に、勤勉とされるドイツから来た移民が多いことが影響しているのかもしれない。

主に中国製ワクチンを利用

ところが、2回目の接種を終えている人が人口の21%に上るというのに、チリでは感染拡大が収まるどころか、1日8000人と過去最高レベルの新規感染者が出ている。人口の約9割が再びロックダウンの対象となっており、この現象に国内外の医学専門家の注目が集まっている。

チリでこれまで使用されたワクチンの93%は中国シノバック製のワクチン「コロナバック」で、残り7%はアメリカのファイザー/バイオテック製だった。チリがシノバック製のワクチンを選んだ理由についてウルグアイ紙「エル・オブセルバドール」(2021年1月3日付)と、アルゼンチン電子紙「インフォバエ」(2020年6月22日付)が参考になる内容を掲載している。

この2紙の情報を合わせると、チリは当初、ファイザー製ワクチンを接種しており、ファイザーも1000万回分のワクチンの提供を保障するとしていた。シノバックも同様の数量を保障していたという。最終的にシノバック製ワクチンに集中することに決めた背景には、チリのカトリック大学からの推薦が影響したことがあるという。当時どの国もワクチンの入手確保に動いていたということで、同大学が政府に早急な判断を迫ったようだ。