中米からアメリカへ北上する「移民キャラバン」が話題になったのは、今から約2年半前のことである。グアテマラ、エルサルバドル、ホンデュラスの3カ国からアメリカを目指す人約7000人がSNSなどを通じて集結し、これに対してアメリカのトランプ前大統領が怒り心頭だったのは記憶に新しい。

それからあまり報道されることはなくなったが、コロナ禍においても3カ国の人々が北上する動きは止まっていない。フロリダ州「パナム・ポスト」(3月24日付、4月9日付)によると、アメリカ国境取締局(CBP)によるメキシコとの国境から違法に入国しようとして拘束された人の数は今年1月が7万8442人、2月は10万441人、3月は17万2331人と毎月増加している。

ラテンアメリカの政治問題に詳しいアルゼンチン出身のジャーナリスト、カルロス・パグニ氏は、スペイン紙「エル・パイス」に対して、今年9月までに移民の数は、大人100万人、同伴者のいない未成年者20万人に到達するとの見通しを伝えている。

与えられた2つの課題

こうした中、ジョー・バイデン大統領は3月24日、メキシコ国境から違法に流入する移民の急増を前にカマラ・ハリス副大統領を移民対策の責任者に任命した。バイデン大統領はこれに際し、「彼女が発言する時は、それは私に代わって発言しているということだ。そのために事前に私と相談する必要はない」とホワイトハウスから述べ、この問題に関して全幅の信頼をハリス大統領に寄せていることを表明している。

この問題の解決には2つの目標がある。1つは流入する移民の減少と、もう1つは流入する移民の出身3カ国の政府と協力して、それぞれの国民がアメリカに向けて出国する必要性を感じないように国内の経済や社会問題の解決を図ることである。

だが、今回の「ミッション」について、首都ワシントンの政治専門家の多くは、これはハリス副大統領の今後の政治的キャリアを左右しかねない、非常に難しいものだと見ている。