不法移民問題を解決するには、メキシコ政府の協力が欠かせない。そこでバイデン政権は、新任の在メキシコ大使にケン・サラザール氏を任命する意向を表明。同氏はオバマ政権時に内務長官を務めた好感度の高い人物で、しかもロペス・オブラドール大統領の右腕的存在であるマルセロ・エブラルド外相とも近しい。

ハリス副大統領は流民問題を担当することが決まった2週間後、まずはロペス・オブラドール大統領と電話会談を行った。今後は問題の中米3カ国の首脳とも緊密に連携して問題の解決を図っていくことになるが、4月12日にはメキシコ、ホンジュラス、グアテマラが協力して国境の警備にそれぞれ1万人、7000人、1500人の軍人が警備にあたることが約束された。また、グアテマラでは移民が通過する12の拠点をコントロールすることも決まった。

前政権時は、脅しが専門のトランプ前大統領がメキシコ政府に対して移民の流入をグアテマラとの国境で抑制しないのであれば、メキシコからの輸入品に高関税をかけると脅迫した。それでロペス・オブラドール政権は重い腰をあげて2700人の軍人を派遣したとされている。

その成果があって、それ以後アメリカへの移民の流入が減少。しかし、それが果たしてメキシコ政府が発表したように2700人の部隊を派遣したということを証明するものではなかった。

エルニーニョで農作物が育たない

中米からのアメリカへの移民の流入問題が解決しないことには、大きく分けて2つ理由がある。

1つは、中米で起きているエルニーニョ現象による長期の干ばつだ。気温の上昇が影響して作物を育てることができない状態が続いている。その痛手を最も受けているのがグアテマラである。

同国では人口1700万人の15%にあたる人が、日々の食料にも事欠く状態にあるとされている。その影響で貧困層は増大している。しかも、同国では8つのファミリーが国の産業の85%を占めていて、それが政治にも影響しており、貧富の差を解消することができないでいる。