イギリスで、なぜ急速にワクチン接種が進んだのだろうか。日本と比較すると、必ずしも「効率のいい国」とは思えないイギリスで接種がスイスイと進んだのは、確かに不思議である。

しかし、それにはいくつかの理由がありそうだ。まず、「初動が早かった」「政府が巨額投資した」「リスクを取った」「全国的に接種を行うための組織があった」などが考えられる。

「初動が早かった」とは、新型コロナの存在が浮上した昨年1月、イギリスの科学者たちは新たなウイルスの研究を始めたからだ。中国がコロナの遺伝子コードを公開するや否や、科学者たちが対コロナワクチンの開発・研究を開始した。

政府は昨年4月にワクチン専門部門を設立

その中でも先陣を切ったのがオックスフォード大学のチームで、以前から手を付けていた関連ウイルスのワクチン開発を新型コロナに応用し始めた。生産・供給のパートナーとして製薬大手アストラゼネカと契約を結び、臨床試験を行っていった。政府は昨年4月にワクチンの開発・生産・供給を速やかに進めるための「ワクチン・タスクフォース」という部門を新設。ここが中心となって接種までの道筋を作った。

オックスフォード大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究機関に政府が巨額を投資し、最終的に7種のワクチン開発を支援。どのワクチンがいつ成功するのかはわからない中の投資だった。

今年1月時点で、オックスフォード大とアストラゼネカのワクチン、アメリカのファイザーとドイツのビオンテックとの共同開発のワクチンを含む、7種類のワクチンを大量に注文した。現在、約4億万回分のワクチンを注文しており、すべてを2回分接種するとしても、人口の2倍を超える量である。

最初のワクチン接種が行われたのは昨年12月8日(ファイザー社のワクチン)。その後、1回目の接種を1人でも多くの人に進める方針を取り、1回目と2回目の間を製薬会社の指定の期間よりも長期化させた。これはイギリス内外で批判されたが、この点でもイギリス政府はリスクを取って踏み切ったと言える。後の調査で、政府の「12週間の間隔を開ける」方針は医学的にも大きな問題がないことがわかってくる。