現在は、ファイザー、アストラゼネカ、アメリカのモデルナ製ワクチンが使用されており、そのほかのワクチンもまもなく医療当局から認可を受け、接種段階に進む見込みだ。

ワクチンを確保しても、それを人々の腕に注入できなければ、意味がない。この部分を担ったのが、国営の「国民保健サービス(NHS)」である。家庭医(GP)と病院体制を組み合わせるサービスで、診察料は無料だ。数万人規模のボランティアを募り、NHSの運営を助けた。接種場所は、家庭医がいるクリニック、病院、薬局、特設会場の他に市民会館、学校、教会など多岐にわたる。

ワクチン予約はとても簡単だった

イギリスに住む人は、ワクチンを受けるためにまずNHSからの連絡を待つよう言われた。1月に1回目を接種した家人の場合、自宅に電話をもらった。「来週のこの日に、クリニックに来れますか?」という内容だった。

筆者には、3月、手紙が届いた。政府の特設ウェブサイトにアクセスし、1回目と2回目の接種場所と日時を予約するように、という指示だった。予約は非常に簡単で、自宅の郵便番号を入れると、近くの接種場所のリストが出るので、その中から好みの場所を指定するようになっていた。

ワクチン接種でもらえるカード(右)とパンフレット。カードの裏には名前、ワクチンの開発メーカー、日時などの情報が記されている(筆者撮影)

当日、接種場所となった薬局に行くと、すでに何人もの人が並んでいた。マスクをつけて中に入り、自分の番がくると、袖をまくって打ってもらう。接種後は15分ほど、薬局内にとどまった。懸念されるようなアレルギー反応などが出ないかどうかを見るためだ。15分経ち、「接種済み」と書かれたカードをもらって、帰宅した。

2日ほどは疲労感があったが、その後、体調は通常どおりとなった。接種時にどのような副作用がありうるかなどの情報が入ったパンフレットをもらえるので、これを読むと安心できた。

イギリスで開発された、アストラゼネカ製ワクチンをめぐっては安全性を問題視する向きもある。特にヨーロッパ中心にその懸念が表明されており、デンマークでは一切の利用を停止している。ほかのいくつかのヨーロッパ諸国では高齢者に対象者を絞った。